歯科校医の任期制導入を提唱(『学校』の歯科保健教育の活性化のために、『歯科校医自身』の生涯研鑽のために) - 宮城県 白石市 清原歯科医院



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〒989-0229 宮城県白石市銚子ヶ森10-39
ご予約は0224-25-1030まで

【教育委員会関連の皆様】・【学校教育に従事する皆様】・
【PTAの皆様】・【地域住民の皆様】へ

●提言●

学校歯科医の立場は、該当する校長先生又は園長先生のもとで勤務する公務員であります。

ですので、“学校のあの教員と親交が深いから”というような人間関係、もしくは“自分の医院からあの学校が一番近距離にあるから”(昔と違い現在は学校の近くにはたくさんの歯科医院があります)などの学校歯科医の都合で、1つの学校又は園に任期もなく長年にわたり在籍することは許されるべきではありません。

学校歯科医は少なくとも3年~6年を任期として、幼稚園・保育園・小学校・中学校・高等学校と交代で職責をはたすべきと考えます。(任期制の導入)
 ・・・定年制とは違います。

任期制とすることにより、任期ごとに「前任の学校歯科医の学校歯科保健活動の教育内容」の記録が学校に残ります。

次に担当する学校歯科医は、今まで自分が行ってきた教育内容をもとに、その残された記録を参考にしながら、より充実した教育プログラムを構築できます。
任期制を導入すると、学校歯科健診における健診基準の一貫性が損なわれるとの意見がありますが、その意見は的を得ておりません。

小学校は6年教育、中学・高校は3年教育でありますから、6年間・3年間で児童・生徒は入れ替わりますし、既に私たち宮城県歯科医師会学校歯科委員会では、健診基準の統一化を図るために、宮城県歯科医師会各地域支部に「みやぎの学校歯科保健マニュアル」というCD-ROMを配布済みであります。

結果、学校側にとっては刺激のある活発な学校歯科保健活動が推進され、学校歯科医側にとっても常に研鑽を積み重ねる環境におかれることになり、両者にとって有益なものになります。

一人の学校歯科医が同じ学校に何年も在任することは、地域を平均的に見れば、学校にとっては有益性が薄く、学校歯科医にとっても園児・児童・生徒というような各年代における学校歯科保健教育ができないわけですから、学校歯科医自身の生涯教育・研鑽の意味合いが薄れます。

もし、学校歯科医に「親御さんがお子さんの口腔衛生に熱心な幼稚園・保育園・小学校の時期に、いわゆる中学校就学以前に、長年いつまでも半永久的に在任したい」というような私利私欲があるならば、学校歯科保健の教育水準は、全国水準から10年20年単位で大きく遅れをとることになりましょう。

このような学校歯科医に限って、「別にいつ辞めてもいい」などと言います。
ほんとうに辞めたいのならば、学校歯科医の立場は公務員扱いなので、市町村に辞職願を提出すれば可能ですので、そうして頂きたいものです。

全国的にみても、学校歯科医の任期制を導入している先進的な歯科医師会支部があります。そのなかには、学校と学校が、学校歯科医と学校歯科医が、学校と学校歯科医がお互い積極的に意識を高め合いながら、地域が一丸となって学校歯科保健活動に取り組み、全国一覧で虫歯保有率データが最も低値を獲得することができた歯科医師会支部がありますし、全国学校歯科保健大会で団体表彰を受けた歯科医師会支部もあります。 

現在、宮城県内では“学校歯科医”はどのようにして決定されているかといいますと、毎年、県内の各市町村の教育委員会が、各市町村の歯科医師会支部“学校歯科医の推薦依頼”をして、各市町村の教育委員会がそれを見て(実際には推薦名簿のとおりに)決定しております。

もし『毎年、前年度と同じ学校歯科医の名簿』を教育委員会に提出というような、時代にそぐわない保守的かつ閉鎖的な慣例が歯科医師会支部にあるとするならば、即刻改めるべきであると考えます。

どんなに地域医療に貢献し地域住民の健康増進に寄与したとしても、学校歯科医自らが襟を正し、学校歯科保健教育にあたらなければ、ほんとうの意味で地域住民の信頼を得ることは無理でしょう。

高い志をもって、学校歯科保健教育に取り組むべきと考えます。

学校から虫歯や歯肉炎を可能な限り減らすことに、反対する学校歯科医も親御さんもいないはずです。

●以下、現在私が所属する「宮城県歯科医師会学校歯科委員会」が「宮城県歯科医師会全会員」にアンケート調査をした結果です。(赤字は私のコメントです)●

宮城県歯科医師会学校歯科委員会アンケート集計結果 (2002.4)
    宮城県歯科医師会全会員に対する無記名調査

○ 学校歯科医の配置に関するもの ○

* 同じ先生が幼稚園や保育園と小学校を2つ独占しているケースが多くございます。小学校を持っている先生はもう1つは中学校 とか高校とか、均等に校医をわりふるのが通例ではないかと思います。(会員は皆、平等に!)
… 全く同感です。さきの●提言●で述べさせて頂きましたが、一人の学校歯科医が同じ学校に長年在任することは、極めて異常な状態と考えます。


* 父が歯科校医をしているので、後継者としてつぎたいです。
… 公私混同しております。
学校歯科医の立場は公務員扱いです。御自身の医院をつぐのとは全く違います。


* 1校あたりの校医を増員してほしい。ひとり3校でもよい。
… 市町村から学校歯科医に対しての報酬の限度額が決まっておりますので、 報酬を複数で分割、結果一人分は減額報酬になりますが、本来ならこれを望みます。全国的にみますと、これを実践している県があります。
大人数のお子さんたちを1~2名の学校歯科医が担当するより、複数名の学校歯科医が担当したほうが、健診時間も短くなり健診精度も上がります。


* 学校側の歯科医への希望、不満を把握し、場合によっては歯科医の交代をできるように。
… 同感です。
任期制を導入すれば、少しでもイイ方向に向かうと思います。


* 県歯の指導で複数校の校医をしている会員から校医をもたない会員に分けるよう指導してほしい。
… 同感です。


* 既得権とかで、校医が固定されている気がする。平等に担当できる様に要望する。
… 学校歯科医の立場は公務員ですから、既得権があるとするならば、私は既得権及び既得権益を絶対に認めません。
学校歯科医は少なくとも3年~6年を任期として、幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校と交代で職責をはたすべきと考えます。


○ 学校歯科医のモラルに関するもの ○


* 校医を何年やったからといって、勲章や肩書きがどうのこうのという時代ではないことを認識すべきです。定年制の早期実現を望む。老齢化とともに健診もアバウトになってきます。すみやかに世代交代し若い先生方の行動力に期待します。
… 都道府県によっては、学校歯科医の定年制を導入しているところもあります。私は、先日の宮城県歯科医師会学校歯科委員会常任委員会の議題のひとつで「学校歯科医の定年制の是非」について、「現在の学校保健教育の基礎を築かれてきた御年配の学校歯科医の先生方の意見をもとに、各年代の学校歯科医の意見を集約しながら議論していくべき」と発言しました。


* 上記記述は、公立・市立の園・学校を対象にしたものであって、私立の園・ 学校は学校歯科医との個人契約ですので、上記内容からは除外されます。




●結びとして●

現在、宮城県歯科医師会学校歯科委員会では、1人の学校歯科医が1つの学校に留まらなくとも、複数の学校の歯科校医を通年で○年以上(表彰の種類によって年数が決まっております)勤めた場合には、各種表彰の対象になるようにしております。

私も将来、そのような表彰をもし授与されることがあれば喜ばしいことではありますが、それ以上に、園児・児童・生徒たちの元気な笑顔を、心の中の額縁にしっかりと飾っておきたいものです。

歯科医師会には、地域の皆様の健康維持増進に寄与するという大義があります。
「学校歯科」は、地域の未来を担う多くの幼児・児童・生徒たちに直接影響のある最たる分野であることは論を待ちません。

教育委員会関連の皆様、学校教育に従事する皆様、PTAの皆様、地域住民の皆様、私が皆様のご意見を代弁しまして、歯科医師会で議論して参りたいと思います。

現在、多くのかたよりご意見が届いております。
どうぞ、トップページのアドレスもしくはFAXまでご意見をお寄せください。(匿名でもかまいません。)

次世代を担う子どもたちのために、一学校歯科医として志高く、皆様とともに真剣に地域医療の向上を模索していく所存でございます。

平成16年10月
宮城県歯科医師会 学校歯科委員会 常任委員
清原敏明